こんばんは!原生林の熊です。
2023年12月31日の読売新聞に、原生林の熊を取り上げていただきました。
12月25日に記者さんの取材を受けまして、9月に起こった熊との格闘や私の思いなどを記事にしていただけたことに感謝です。
\ 熊との格闘についての記事はこちらです /
山に入らない選択肢
著作権の問題もありますので全文はご紹介できませんが、少しだけ内容をご紹介させていただきますね。
「山に入らないことが一番の予防策だとは思いませんか」。新たに小型サイレンを買ったと話す佐藤さんの背中に、ずっと気になっていた疑問をぶつけた。
「岩泉町は9割以上が山林地帯。東京の人には分からないかもしれないけど、生活と山が密着している人もいるのさ」。佐藤さんの答えに、自分の経験だけで物事を考えていた己を恥じた。
R5.12.31読売新聞「記者ノート 2023 クマと共存 続けるには」
取材にいらした記者の小林晴紀さんは、24歳の未来ある若者。東京で生まれ育ち、2023年の5月末に盛岡支局に赴任したばかりだと言います。
小林さんに答えた通り、私が活動する岩泉町はほとんどが山林です。山の中で人が生活しているようなもの。
そのため、生活しているだけで「山に入っている」とも言い換えられるかと思います。
山に入らなければ熊と出会わない、熊と出会わなければ襲われないし、熊を傷つけることもない。
たしかにそうかもしれませんが、このような土地で暮らす私たちには、山に入らないという選択肢がないのです。
取材を受けて思うこと
私たちにとって、生活と山は密接な関係があります。
取材を受けて、都会で暮らす人には理解しがたいこともあるのだと勉強させられました。
それには、想像力を働かせるだけでは乗り越えられない部分があるかと思います。
実際にその土地で生活しなければ分からないこと、気づかないことは確実にあります。(これは誰にでも言えることですし、もちろん私にも想像しただけでは分からない都会の暮らしがあるはずです。)
そのため、「クマが可哀想」という人と「人の命のほうが大事」という人の論争は、なかなか終わらないかもしれないですね。
命の大切さ
熊も一つの命です。人も一つの命です。
9月の熊の格闘では、私は自分の命を守るために戦いましたが、熊は熊で自分と子熊の命を守るために私に向かってきました。
熊の人身被害が増えているため「熊が人間の敵」といった認識に傾いている人もいるかと思いますが、熊は悪ではなく、人の敵でもありません。
私は、熊も人も大切な命だと考えます。
では、どうすれば良いのか・・・
人は知能が高い生き物ですので、「予防策をしっかりととって熊に出くわさないようにすること」「熊との鉢合わせを避けること」が大切かと思います。
また、地域によっては、人の生活圏に熊が降りてこないような対策も必要です。
今年も熊の目撃情報が多くなるのではないかと予想されますが、私の体験が熊の被害を減らす一助になればと願っています。
私自身も、今回の反省点をもとに対策をしっかりと行い、熊と出遭わないようにしていきたいと思います。