熊との不測の遭遇は、今や誰にでも、いつでも起こり得る重大なリスクです。
自分や仲間、従業員の命を守るためには、事前の回避行動だけでなく、万が一の接触時に怪我を最小限に抑えるための専門的な装備が重要となります。
熊に遭遇した際、「運が悪かった」では済まされません。企業には、想定されるリスクから従業員を守る「安全配慮義務」があります。本日は、万が一の遭遇時に「生存率を最大化する」ための装備を提案します。
「熊被害」という現実的な労災リスク

近年の熊の出没増加により、現場作業員の安全性はかつてないほど脅かされています。山間部だけでなく、人里にも熊が出没する時代になったためです。
熊に狙われる「部位」が存在する
熊は時速50km以上の速度で突進し、その一撃は人間の骨を容易に粉砕します。特に恐ろしいのは、熊が人間の「顔面」や「頭部」を集中的に狙って攻撃してくるという習性です。
原生林の熊この習性については、猟師歴50年の熊狩猟師である私の知人も言っています。
通常の作業用ヘルメットや素手では、この致命的な一撃を防ぐことは不可能です。防御と撃退、この二段構えの装備が、現場の安心感と実際の生存率を分ける決定打となります。
私が襲われたときの体験
2023年9月。いつものようにきのこ採りをしていた私は、熊と格闘することとなりました。
【YouTube】 原生林の熊チャンネル 熊に襲われた一部始終
どうやって熊と闘ったか?
親子連れに気が付いた時点で「今日は怪我をする」と確信しました。
- なんとかして生きて帰ろう
- 家族にも迷惑はかけたくない
- よし、来たらこっちから襲うぞ!気迫で勝てないと決して強い相手には勝てない
- 勝つ必要はないが自分で車に戻りたい
- 地元の消防にも迷惑は掛けたくない
お互いに相手を意識した直後、子熊は木に登った。
子熊が木に登る行動は、脅威を感じている証拠です。母熊は危険を察知して、子熊を木に登らせます。
ここまで持って歩いて来たイタヤカエデ、紅葉の木の棒を持って、太いミズナラの木の後ろに回り込みました。
母熊は私をロックオン。すごいスピードで走ってきます。
私は「ほら来た」と思い、鼻を目掛けて木の棒を振りました。鼻にしっかり命中。あの緊迫感のなか、よく命中したと、後々思いました。おそらく「火事場のくそチカラ」だったのでしょう。
「このまま去れ」と思いました。
負けじと楓の棒を振り下ろします。
なんとか熊の攻撃を交わしていましたが、熊が楓の棒を掴んできます。
熊が掴んだ木。何とか離させたくて木を振り上げたところ、それが裏目に出て熊を自分に近づけてしまいました。
今までなんとか距離をとって熊の攻撃を防いで来ましたが、「もう駄目だ」と思いました。手の届く距離に入って来る熊を棒と手で叩きました。
私の前を通り過ぎる時に、熊は私の肘をがじりました。ただ、かじられたとは気づいておらず、自分が怪我をしていることは熊が逃げ去った直後に血を見て分かりました。
熊の攻撃スピードは速過ぎて、その場ではどんな攻撃を受けたかすら分かりませんでした。
熊は私の肘を齧って何故か仰向けになりました。熊の後ろ足の裏がカメラに写ってます。「ころん」と仰向けに転がったような感じでした。
そこからの熊の逃げ足は、襲ってきたときより速かったと記憶しています。あっという間にマスタケが生えていた倒木の下に逃げていきました。
2度目の襲撃もあり得る
私が命の危険を感じたのはもちろんですが、熊も何度も叩かれて嫌だったかもしれません。
親子連れの熊の襲撃は、一旦去っても2度目があり得ます。この「2度目」の話は、地元櫃取地区に在住の「レジェンド猟師」と呼ばれる方にも以前から聞いていました。
「一旦、子熊の様子を見に行ってから、再度襲ってくる」という話です。
このような2度目の襲撃は、近年も実際にありました。初心者が2人でたけのこ狩りに行き、1人が襲われ、道路まで戻り負傷者を介抱している際にもう一度襲われた、という事件です。このときは、結局2人とも重傷となってしまいました。
私のときは1度の襲撃で済みましたが、親子連れの熊は2度目が起こり得ると認識しておく必要があります。
最小限の怪我で家に帰るための基本
熊と対峙したときに、猟師以外の人間が熊をやっつけるのは不可能です。こちらに向かってきた場合、何も準備していなければ無傷で家に帰るのも困難です。
ただ、準備の有無に関わらず、最小限の怪我で家に帰るための基本が2点あります。
気持ちで負けない
前提として、もしも熊と出会ってしまったら気持ちだけは負けてはいけません。
熊に気持ちで勝つ。そのためには、普段からシュミレーションしておくのがおすすめです。現場ではイメージトレーニングが活かます。
倒されない
倒されると頭をかじって来るので、重症になります。何としてでも倒されないように頑張らなければなりません。
私が襲われた際、もしも背を向けて逃げていたら倒されていたと思います。闘ったからこそ助かったのだと実感しています。
熊の身体能力、攻撃力は凄いです。スピード、パワー、バランス能力、柔軟性、戦闘力。このようなことを踏まえ、何を装備すべきなのでしょうか。
「山菜採りポール 熊撃退」による距離の確保
熊を寄せ付けない、あるいは対峙した際に距離を取るために「山菜採りポール 熊撃退」をご提案します。これは、槍のような構造を持つ護身用のポールです。
熊との対峙で最も重要なのは「間合い」を維持することです。このポールを構えることで、熊が容易に踏み込めない心理的障壁を作ると同時に、万が一の際には物理的に距離を置くための武器として機能します 。
山菜採りポール熊撃退とは?


【オンラインショップ】山菜採りポール 熊撃退
山菜・きのこ採り25年超の原生林の熊が、使いやすさと安全性を突き詰めて設計したポールです。
- とにかく軽い655g以下
- 突起物の長さ:15センチ未満(各種届け出不要)
- 強度:曲がらない強さを確保
- 全長:170センチ(山歩きに邪魔にならず、安全性を考慮)
- 刃先保護:本革カバー付き
- 設計コンセプト:最低限クマの攻撃をかわせる長さを備え、持ち運びに適した設計
山菜採りポール熊撃退の誕生秘話
先ほどもご覧いただいたように、熊と闘ったときは持っていた木の棒を使いました。
その翌年(2024年)、9月にアミタケ採取中にオオスズメハチに襲われましたが、この時に持っていた熊槍を山に置いてきてしまいました。
そのため、2025の春に持ち歩く熊槍の代わりを制作しました。それが「山菜採りポール熊撃退」です。
はじめは山に入る人たちの身を守る道具として販売しましたが、昨年の熊出没数増加もあり、今では入山しない方、建築現場で働く方や農業を営む方などにもご愛用いただいています。
今後、警察、遭難救助隊、自然学校、小学校から高校、各役所、公民館など人が集う場所には配備が望まれます。
身を守るために効果的な使い方
熊と対峙したときは、なるべく熊より高い側に立ちましょう。もし自分が下に居たら、攻撃をかわして熊を下にします。
熊を発見した時点で熊が上に居ると、ほとんどの熊は飛び掛かってきます。速いスピードで飛んで来るので、なんとかかわし、熊を下に闘いたいところです。
発見した時点で熊が上だと、襲ってくる確率も高くなると覚えておきましょう。
冬眠中の熊を狩る際にも、猟師は上から攻めます。冬眠穴の入り口の下に立つのは危険です。
コツは「小刻みに突く!」
万が一、熊が自分に向かってきたら、小刻みに突くようにして、熊の攻撃がこちらに当たらないようにしましょう。
突いたあとは素早く引きます。そして、また「突く」動作を繰り返します。
叩くように振り上げると、空いたスペースから足元に入り込まれてしまいます。そのくらい熊は素早い動きをします。
また、熊は皮膚も硬く、皮下脂肪も分厚いので、完全に突き刺すのは困難だといった認識を持っておいてください。さらに、熊にポールを掴まれないためには、小刻みな動作が重要です。
複数人で行動する、それぞれにポールを携行する、といった方法をおすすめしておりました。
頭部と頸部を守るプロトスヘルメットの機能


熊による攻撃は、その鋭い爪と強靭な顎によって人間の頭部や顔面、頸部に集中する傾向があり、これらの急所を物理的に保護する装備が生存率を劇的に向上させます。
林業現場で信頼されるプロトスヘルメットは、その堅牢さから熊対策としても極めて有用です。
一般的な作業用ヘルメットとは一線を画す多層構造の衝撃吸収システムが、熊の強烈な一撃を分散させ、脳震盪や骨折のリスクを軽減します。
一度でも装着してみれば、その安心感と快適さがどれほど心強いか理解できるはずです。
私が熊対策としてプロトスヘルメットを推奨する理由
熊と闘ったあと、春のたけのこ採りに採用したら、思ったより負担が少なく蒸れないと気づきそれ以来山に入る際は被っています。
決して安価なものではありません。ただ、その価格以上の価値があると思います。
他のヘルメットとは格段に違うフィット感、安定感、蒸れずに快適に過ごせる点、機能性が保証されているため万が一のときにも落ち着いて熊と正面から対峙できる点が素晴らしく、これ一択となりました。
林業現場で証明された耐久性
プロトスヘルメットは、重量物の落下や激しい接触から頭部を全方位的に守るよう設計されており、そのシェル強度は世界最高水準にあります。
熊が上から覆いかぶさってきた際や、強力な爪でなぎ払われた際にも、ヘルメットが壊れることなく衝撃を受け流します。
特に後頭部から首筋までを深く覆う特殊なフォルムは、野生動物が本能的に狙う脊髄付近を物理的に遮断します。
この「包み込むような設計」が、転倒時の二次被害からも頭部を守り、意識を保ったまま次の防御行動に移るための時間と活力を与えてくれます。
パニックを防ぐフィット感と視界
緊急時の激しい動きの中でもズレにくい、独自のインナーフィッティング機能が、視界の遮断という最悪のパニック要因を排除します。
プロトスは細かな調整が可能で、頭部全体を均一な圧力でホールドするため、熊から退避する際や地面に伏せる際も脱落の心配がありません。
内蔵されたフェイスシールド(バイザー)は、熊の爪による顔面の裂傷を防いでくれます。
プロトスヘルメットの主要な防御機能
- 首筋まで保護する一体成型リアシェル
- 衝撃を効率的に分散するハニカムインナー
- 高強度の収納式フェイスシールド
熊対策ヘルメットの今後
これからは熊との接触が懸念され、フェイスガード付きのヘルメットが多く採用されると思います。
「フルフェイスヘルメットが良いのでは?」と言う人もいますが、熊の存在を察知するための聴覚が奪われてしまいますし、なによりも暑くて活動しづらいです。
労災の観点からも、フェイスガード付きのヘルメットは重宝されるようになります。林業者はもちろん、登山者、ハイカー、釣り人、山菜きのこ採り、ハンター、警察、遭難救助隊なども採用すると予想されます。
音で熊を逃がす!クラッカー


より手軽に熊を逃が方法として、持ち運びやすく手軽に使えるクラッカーをおすすめしております。
びっくり爆音クラッカーの特徴
火気不要のトリガー式: 従来の爆竹とは異なり、ライター等で火をつける手間がありません。引き金を引くだけで爆音を鳴らせるため、咄嗟の判断が求められる場面でも迷わず使用できます。
音と臭いのダブル効果: 野生動物が本能的に恐れる「衝撃波を伴う鋭い破裂音」に加え、自然界には存在しない「火薬の臭い」を放つことで熊の警戒心を最大まで高め、その場から遠ざけます。
携行性と手軽さ: コンパクトで持ち運びやすく、1袋(2個入り)で計4発の破裂音を鳴らすことが可能です。日常的に熊の出没が懸念される地域での常備にも適しています。
遭遇リスクを劇的に下げる「使用タイミング」
クラッカーは「遭遇してから使う」以上に、「遭遇を未然に防ぐために使う」のが最も効果的です。
① 視界が悪く、潜んでいる可能性がある場所
藪が深い場所、急な曲がり角、霧の出ている登山道などでは、お互いに気づかず接近してしまう「鉢合わせ」が最も危険です。こうしたポイントの手前で先制的に使用し、こちらの存在を強くアピールします。
② 自然のノイズ(音の壁)がある場所
沢の激しい水音や強風は、熊鈴や話し声をかき消してしまいます。熊も人間の接近に気づけなくなるため、こうした環境下では定期的にクラッカーを鳴らし、音のバリアを張りながら進むのが有効です。
③ 熊の痕跡を見つけた直後
新しい足跡や糞、食痕などを見つけた場合、近くに熊が潜んでいる可能性が極めて高いと言えます。このタイミングで鳴らすことで、こちらの意思(拒絶)を明確に伝え、熊に逃げる機会を与えます。
熊よけ鈴との違い・使い分け
どちらか一方を使うのではなく、「鈴をベースに使いつつ、要所でクラッカーを追加投入する」という多層的な防御が、生還率を最大化させるために最も効果的です。
| 特徴 | びっくり爆音クラッカー | 熊避け鈴 |
| 音の特性 | 単発的・衝撃的・高デシベル | 継続的・高周波・中デシベル |
| 主な効果 | 強い驚愕を与え、即座に遠ざける | 遠くから人の存在を知らせる |
| 主な目的 | 能動的な「警告」と拒絶 | 受動的な「存在誇示」による鉢合わせ回避 |
| 環境耐性 | 水音や強風を突き抜けて届く | 環境音にかき消されやすい |
クラッカーと熊よけ鈴には、以下のような違いがあります。
1. 心理的インパクトの強さ
熊避け鈴は自分の存在を穏やかに知らせるための道具ですが、爆音クラッカーは衝撃波を伴う鋭い破裂音を放ちます。
この音は熊の神経系に直接作用し、思考する隙を与えずに「逃走本能」を刺激します。また、音だけでなく「火薬の臭い」を伴う点も、野生動物を遠ざける強力な要因となります。
2. 受動的か能動的か
熊避け鈴は身に着けて歩くだけで自動的に鳴り続ける「受動的な対策」であり、日常的なベースの防御手段です。
対して、クラッカーは「視界が悪い場所」や「熊の痕跡を見つけた時」など、人間が危険を察知した際に自らの意思で引き金を引く「能動的な予防策」です。
3. 自然のノイズに対する有効性
沢沿いの激しい水音や強風下では、鈴の音はかき消されてしまい、熊が人間の接近に気づけないことがあります。
クラッカーの破裂音は、こうした自然の「音の壁(ホワイトノイズ)」を突き抜けて遠くまで届くため、鈴の音が機能しない悪条件下でも確実に警告を発することができます。
4. 人慣れした熊への対応
近年、人慣れした熊にとって鈴の音は「人間(=エサ)」の合図になってしまうリスクが指摘されています。これに対し、爆音クラッカーは非日常的な轟音によって「明確な拒絶の意思」を示すことができ、より攻撃的な防御手段として機能します。
※ただし、クラッカーは興奮している熊や攻撃態勢に入った熊には効果がない、または逆効果になる可能性があるため注意してください。


熊撃退スプレーを使いこなすための備え


熊撃退スプレーは、至近距離まで接近された際の唯一と言ってもいい対抗手段であり、その噴射タイミングと射程を完璧に把握しておく準備が大切です。
主成分のカプサイシンは、熊の粘膜に強烈な痛みを与え、一時的に行動不能にさせる高い抑止力を持ちます。
しかし、実際の襲撃現場ではコンマ数秒の判断が求められるため、ただ持っているだけでは効果を発揮できません。定期的にロックの外し方や構え方を練習し、実戦で迷いなく発射できるまで身体に覚え込ませておくと良いです。
※現在は、熊避けスプレーの不足により、長期間手に入らない状況になっています。
有効射程と噴射タイミング
多くの製品で有効射程は5メートルから10メートル程度とされていて、熊がこの範囲に侵入した瞬間に全量を使い切る勢いで噴射します。あまりに遠い距離で使い始めると、霧が拡散してしまい、肝心の接近時に成分が届かないという致命的なミスを招きます。
熊が突進してくる速度を考慮し、自分の足元から熊の顔面を通過するように扇状に噴射するテクニックが推奨されます。一度の噴射時間は数秒ですが、その短い時間で熊の視覚と嗅覚を確実に麻痺させることが、退避時間を稼ぐための最大の目的です。
私の推奨している熊避けスプレーは、9mの噴射距離がありますが、5メートルくらいまで熊と接近してから噴射する必要があります。熊発見時に、自分との距離がある程度ある場合は、熊が近づいてくる間に準備して使えます。
ただ、突然の攻撃では間に合わない可能性がありますし、風向きによっては自分にかかってしまうことも考えられます。
さらに、熊を撃退するのに効果的な5メートルの距離に熊がいる状況は、かなり恐怖を感じるかと思います。
距離・風向き・噴射するまでの時間・熊と対峙した際の冷静な行動といった、かなり条件付きではありますが、すべての条件を満たしたときには有効です。
装着位置と取り出しやすさ
熊スプレーを携行する際は、突発的な事態に備えて、必ず腰のベルトやザックのショルダーハーネスなど、片手で即座に引き抜ける場所に装着してください。
ザックの雨蓋や内部に収納しているようでは、いざという時に取り出す時間が足りず、宝の持ち腐れとなります。
プロの現場では、グローブをはめた状態でも素早くロックを解除できる専用ホルスターの使用が一般的です。また、気温が低い環境では噴射圧が低下するため、衣服の下に入れて体温で温めながら携行するなど、機器の性能を維持するための配慮も重要です。
「出会ったら運が悪かった」では済まない|安全への投資が現場の信頼を生む
現場の皆さんに『熊に会ったら運が悪かった』と諦めさせるのか、それとも『この装備があるから生還できる』という自信を持たせるのか。これは単なる道具の導入ではなく、会社の安全文化そのもののアップグレードになります。
今回ご提案した「防御(プロトスヘルメット)」と「護身(熊撃退ポール)」の導入は、単なる備品の購入ではありません 。それは、現場で働く皆さんの「命に対する企業の姿勢」の現れです。
「もしも」が起きてからでは遅すぎます。従業員が安心して現場に向かえる環境を整えるために、最高水準の熊対策装備の導入を強くおすすめいたします。




